インドで#MeTooは広がるか


ナマステ! Nainaです。

世界中で広がっている、#MeToo運動。
時代が変わっていく様子を目の前で見ている感があります。

インドの女性問題というと、デリーの悲惨な(と一言で表すにはあまりにも悲惨な)レイプ事件は今も記憶に新しく、女性の立場は依然として弱いと感じます。

私もデリー留学中、道を歩いている際にバイクに乗った男性3人組に追い抜かれざまにお尻を触られたことがあります。
笑いながら去っていく男性たちに対してなす術がなく、非常に悔しかったです。
警察にも相談しにいくことができませんでした。インドの警察官が親身になってくれる様子が想像できず、「その程度で」「犯人はどうせ見つからない」というようなことを言われるのではないか、そんな風にさらに嫌な思いをするくらいなら声を上げないほうがましだ、と思ってしまったからです。
実際に相談に行っていたらどうなっていたかはわかりませんが、「訴えても無駄だ」「話したくない」と思わせてしまう時点で社会に問題があると言わざるを得ません。

このように女性問題でも課題を抱えているインドで、#MeToo運動がどのように受け入れられ展開されているのか調べてみました。

 

インド映画界の現状

インドの映画産業でもセクハラ行為やCasting Couch(枕営業)は存在します。

悲しいことですが、これだけ世界中で告発がなされている中で、インドではそういった問題が存在しないというほうが不自然です。

 
事例

監督やプロデューサーがその立場を利用して、女優にセクシュアル・ハラスメントをはたらくという事例が典型的です。

  • 仕事のオファーがあり、監督の自宅でのミーティングに呼ばれる。

    家に着くと、服の中に手を入れられさらに服を脱がされそうになった。
    制止すると、「お前はこの業界の”やり方”を分かっていない」と言われる。

  • 映画に出演させる見返りに、監督やプロデューサーに肉体関係を迫られる。

    拒否するとその監督やプロデューサーの作品にキャスティングされることはなくなる。

 

#MeToo運動で声を上げている女優

メディアの取材に対し声を上げる若い女優はいるものの、匿名でのインタビューを望む人が多いそうです。
#MeToo運動の先導者となるはずの有名女優の多くは、インド映画業界での立場や仕事を失うことを恐れ沈黙を守っています。

そのような状況の中で、実名での告発を行う女優も出てきています。

Kalki Koechlin

 

幼少期にセクシュアル・ハラスメントを受けていたことを公表しました。
現在も、衣装一つとっても「これは本当にストーリーに必要なのか?」と考えてしまうなど葛藤と闘いが続いているそうです。

インド映画界の現状について「有名な俳優であればトップニュースになるが、無名の俳優が声をあげても誰も聞いてくれない。」「ほとんど全ての女性が何らかのハラスメントを受けているが、彼女たちはそれに対して無感覚になってしまっている。」と指摘しています。

 

Sri Reddy

テルグ映画の女優です。
彼女はCasting Couchの実態を映画協会に抗議するために、路上で服を脱ぎました。
「映画界の人間は私に裸の写真を送るように要求してくるのだから、路上で裸になることくらい何でもないわ。」というのが彼女の主張です。

初めは売名行為と受け取られましたが、インド連邦人権委員会の支援を受けこの問題の解決に向けてセクシュアルハラスメント委員会が設置されるとこととなりました。

 

#MeTooは女性だけのものではない

女性よりもさらに数は少ないですが、男性にも#MeToo運動への参加者がいます。

Ranveer Singh

 

(写真はBBCより)

彼はCasting Couchが存在することを明言しただけでなく、自身も実際に経験したことがあると告白しています。

相手の名は明かしていませんが、ランヴィールがアシスタントディレクターだった時代に「Jo smart hai jo sexy hai wo aage nikal jata hai(スマートでセクシーな男が出世する)」と言われ性的行為を要求されました。
ランヴィールが要求を断ると、相手はまるで振られたかのように泣いて見せました。
彼は多くの人に同じ手口を繰り返していたそうです。

 

Farfan Akhtar

 

(写真はBBCより)

ファルハーンは歌手としても活躍しているインド映画の俳優です。
彼は性的暴力の問題に関して啓蒙活動を行う団体「MARD(the Men Against Rape and Discrimination campaign)」を設立しました。
彼は「女性の主張を全面的に信じる」とし、女性が声を上げるのをサポートしたいとBBCに語っています。

 

インド映画界の構造的問題

上記の活動はあるものの、現在のところインドでは#MeToo運動の大きな盛り上がりは見られず、その広がりは限定的です。
その原因として多くの俳優が指摘しているのは、声を上げることで仕事やキャリアを失ってしまうのではないかという恐怖心です。
その恐怖心を打ち破るための施策が#MeTooであるはずですが、ハリウッドのように運動が広まらない真の原因はインド映画界の構造や体質にあるように思います。

映画『Padman』でヒロインを演じたRadhika Apteは、「インド映画業界への入り口が不透明」であることを指摘しています。
オフィシャルな入口が存在しないため、インドの映画業界で仕事を得るためには”コネ”が非常に重要となります。何世代もにわたる世襲もその一つであると言えるでしょう。
そのような状況で声を上げるということは映画界からの追放を意味し、女優たちにとって大きな脅威となっています。

コネ社会というインド映画界の体質が地位の乱用を生み、告発の声を押さえつけている…という悪循環です。

 

インドで#MeTooは広まるか

その悪循環をどう断ち切るのかというのは難しい問題ですが、やはり起爆剤となるのは実力と地位を兼ね備えた有名俳優・女優なのではないでしょうか。
インドで#MeTooが広がるかどうかは、今後の彼らの勇気ある行動にかかっています。

なんだか議論が循環してしまいましたが、一映画ファンとしては純粋な気持ちで映画が観賞できるようにオープンでクリーンな業界に変わっていってほしいです。

 

追記:ディーピカ・パドゥコーンがコメント

『トリプルX』にも出演している世界的女優ディーピカ・パドゥコーンが#MeToo運動に対してコメントを出しました。

 

コメントは出しているものの、自身の経験について語っているわけではなく、内容は当り障りのないものにとどまっています。
あくまで#MeTooへの言及というだけで、#MeToo運動への参加とは呼べません。

 

Bollywood: The reality of sexual harassment
Indian film stars speak out about sexual harassment in Bollywood.
www.bbc.com

 

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