自動車業界で働いていた私が転職後に感じたこと


こんにちは、Nainaです。
私は新卒で日系メーカーに就職し自動車業界で働いていましたが、2年で転職をしました。
別の業界で働いてみて見えてきた自動車業界の特殊性について語りたいと思います。

 

私が働いていた会社は下記のような感じです。

  • 自動車部品をつくっている
  • 自動車部品専門の会社ではなく、自動車部品事業は会社の主要な事業の一つ
  • 独立系(⇔トヨタ系などのように特定のカーメーカーに製品を納めているわけではない)

完成車メーカーや、お客さんが決まっているトヨタ系、ホンダ系などの会社とは事情が異なるかもしれません。

 

完成車メーカーは絶対

自動車業界のヒエラルキーは絶対的なものです。
そしてそのヒエラルキーの頂点に君臨するのが、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ・・・などの完成車メーカー。

我々部品メーカーは彼らの言ってくる納期や売値を守るために、身を粉にして働きます。

私は損益管理の仕事をしていたのですが、特に酷いなと思ったのが”年次値引き”というものです。
カーメーカーとの契約で、毎年2%などの値引きを無条件でしなければなりません。

カーメーカーにとっては何の努力もなしに(サプライヤを脅しにいく労力くらいか)毎年コストが下がっていく美味しい仕組みです。
そして部品メーカーにとってみれば、毎年コストは変わらないのに売上が数%落ちていくという恐ろしい決まりです。

そのままではすぐに経営が成り立たなくなるため、自動車部品メーカーは3年程度のスパンで新しい機種への切替を行い売値を高い位置に戻すという努力をしています。
ですが、新機種への切替や古い機種の生産終了に関する決定権は全てカーメーカーが握っているため、我々のできることというのは多くありません。
徹底的に値引きされた後の赤字機種を数年間にわたって小ロットで生産させられる、というのは普通のことです。

「カーメーカーはヤ〇ザや」とみなが言っていました。

 

板挟みとなる自動車部品メーカー

売値が下がっていくなかで同等の利益を確保しようとするならば、コストを削るしかありません。
上(完成車メーカー)にやられていることをそのまま下(下請け)に要求すればいいじゃないか。

と思うのですが、部品メーカーのさらに下にいる中小企業は下請け法に守られています。

彼らは売上の50%、90%が我々の会社だということも珍しくなく、一つの客先に依存しています。
そのような小規模な会社に対して同じように値引きを要求すると簡単に倒産してしまいますし、「買いたたき」に該当します。

このようにして部品メーカーが完全に板挟みとなる状況ができあがります。
 

 

ジリ貧の戦い

毎年ゴリゴリと会社の体力が削られていくなかで、部品メーカーは血のにじむような努力をしています。
今の会社(別業界)と比べても、彼らがコスト管理原価低減活動へかける労力は非常に大きいものだと思います。

私の担当していた製品は年間売上が1000億円という非常に大きな規模のビジネスだったのですが、製品のコストは0.01円の単位で管理していました。
「サプライヤを変更して3円コストが下がった」というように円単位で切り詰めるのですが、それでも上層部からは「なぜ損益が悪化するのだ」と厳しく責められます。

私は「そういう構造になっているのだから仕方ないのでは」と思っていましたが、そういうことを述べると非常に怒られます。
「〇〇というサプライヤへの原価低減活動が難航しており…」というようなもっともらしい理由をひねり出すのが私の仕事でした。

上層部がそんな調子では業界の構造は変わらないので、カーメーカーに頭を下げて値下げをできるだけ抑えながら、少額のコスト削減を積み重ねるという消耗戦を続けるしかありません。

これが自動車業界の厳しさであり、独特の雰囲気の原因なのではないかと思います。

 

自動車業界と就職について

自動車部品メーカーの置かれている立場が伝わったでしょうか。
 

「タイヤで車社会を支えたい」
だとか、
「ブレーキで人々の安全を守りたい」
といった訳のわからない志望理由でこの業界に入らないようにしましょう。
 本気でそう思っている技術屋さんは素晴らしいと思いますが、自分がこれを就活で言っていたのが恥ずかしいです。

 

二社経験してみて思うのは、社員の努力や優秀さよりも、業界全体の景気の良さのほうがよっぽど損益に与える影響が大きいということです。
そういうところを見極めてブルーオーシャンに身を置くのが、本当に賢いやり方なのだなと思います。

利益の出にくい業界でなんとかやっていける人たちというのは確かに優秀なのかもしれませんが、「業界の構造を変える」「事業を変える」という抜本的な発想ができない時点で1.5流なのかなと思います。

私もこんな偉そうなことを言えたほど優秀ではないですが、少なくとも転職という行動は起こしました。
就活を控えている方、今の会社で消耗している方は一度考えてみてください。

この記事へのコメント

  1. コメント失礼します。
    2つ質問させてください!

    就職活動で言っていた志望理由と実態が異なっていたという話ですが、もし仮に「御社のためにコスト削減業務を徹底してやりたい。私はそのための会計の知識がある。それから、どうせコスト削減業務をやるなら、自分が好きになれそうな商品のコスト削減がしたいから、自動車部品をやりたい。」と言った場合、ものすごく高く評価されると思いますか?
    それとも、学生っぽくないとか、学生に何がわかるみたいな感じで逆効果でしょうか?
    もし効果的なら、いわゆる企業研究というのは、このような実態を探る作業ということになるのかなと思いました。

    現在USCPAを勉強しながら英語を使って仕事をされているということですが、今高3に戻れるとしたら、会計が勉強できる大学を志望しますか?それとも、大学ではやはり語学を勉強しますか?
    主さんの考えるベストな18~24歳頃のプランはどんなものか教えてください。
    たとえば中国では、大学で日本語を専攻しつつ、日本の大学院で経営学を学ぶ、といったスタイルをとる人がいるようです。
    受験生の時点で将来をみすえて受験校を決めるのは難しいですが、どうせほぼ全員が就職すると考えれば、効率的にビジネスに必要な能力を身に付けられる何らかのベストプランがあるのかな、と思った次第です。

    よろしくお願いします。

    1. コメントありがとうございます。
      ちゃんとしたお返事をしなければと思っていたら遅くなってしまいました。すみません。

      まず、例に挙げていただいた志望動機ついて。
      学生の時点で仕事に役に立つ会計の知識があるというのはまず好印象です。
      そして、コスト削減を含む原価管理の仕事は、製品知識が不可欠なので自動車業界、自動車部品に興味があるというのもアピールになると思います。
      一方で、製品への興味はプラスポイントではありますが、一般的な製品知識とコスト削減において必要となる製品知識が必ずしも一緒ではないのでものすごく高く評価されるかというとそうではない気がします。
      結局入社してから、必要な知識(「コスト削減のキーパーツ」、「加工上の難点(不良率が高い、時間がかかる)→コスト増の要因」)などを覚えていくことになると思います。
      その際に事前の知識があると取っ掛かりやすいだろうな、という程度です。

      なので、「私は即戦力になります!」という感じで来られると、学生のくせにと思われてしまうかもしれません。
      それはコミュニケーションの問題だと思うので、基本的には読者さんの志望動機は好印象です。

      あと、少し意地悪な見方をすると、大きな企業であれば「経理になるとは限らない」、「経理の中でも希望の業務につけるかはわからない」「自動車部品以外の事業部になったらどうする?」などと突っ込まれるかもしれません。(ジョブローテのある会社だと特に)

      結局、新卒一括採用では、専門知識よりもポテンシャルやコミュ力、素直さなどが重要視されているというのが現実だと思います。
      そういう中で(職種別採用などを除いて)希望の職種に付けるかもわからないのに、志望動機を作るのは難しいなと思います。
      私は結局最後までそれがうまくできませんでした。(突き詰めていくと「人が好き」以外言えなくなりました。笑)
      読者さんの言う通り、企業研究をして「企業の特徴」と「自分の強み・興味」をうまく結びつけられるのが理想ではありますが…

      次に、18~24歳のプランについて。
      とても難しい質問だなと思いました。
      私が海外やUSCPAに興味を持ったのは、もとはと言えば大学で語学を学んだからなので語学を学ばなかった自分というのが考えられません。
      もともとドメスティックな人間なので、公務員などになっていたかもしれないです。

      なのでもし今の自分のまま大学入学時に戻れるならという条件に勝手に変えさせてもらうと、大学で会計(経営学部・経済学部など)を学んでいたと思います。
      英語も学生の間にもっと高いレベルに持っていけたら選択肢が広がると思うので、海外の大学で会計を専攻する、というのが今の私の考える理想です。
      例えばもし将来自分の子供がやりたいことが特になさそうだったらこの道をすすめると思います。
      英語も会計も少なくとも今のところは需要が高くつぶしのきくスキルなので。

      学部で語学→大学院で経営学というのもいいなと思いますが、せっかく修士までいくのなら学部で学んだことを深めたい派です。

      長くなってしまいましたが、読んでいただければ幸いです。

      1. 丁寧にお返事ありがとうございます!

        >就活
        おっしゃる通りで、あまりにもピンポイントすぎる業務にフォーカスした志望動機だと、そこまで評価は高くならないかもしれないですね。
        大手企業ほど能力が高い学生を取りそうなものなのに、逆に一部の能力を高めすぎていると潰しがきかない、頭が固い、となりかねないという矛盾が…。
        即戦力になるというよりは、「基礎的な知識を勉強しているので、戦力になるまでの成長が比較的早いと思います」程度のニュアンスを匂わせる程度がちょうどいいのかもしれないと思いました。
        製品知識のお話も、業務に有効なレベルまで事前に知識を得るのは難しいわけで、やはり興味がある程度に抑えるのが無難そうですね。

        >ベストプラン
        海外の大学で会計(ビジネス関係)を学ぶというのはベストな選択ですねw
        すんなり同意できました!
        後は、将来どこで生活していきたいか、という問題になりそうです。
        海外の大学を出ると、自然と海外で生きていくことになりそうなので、日本にこだわりがあるかどうかですね。

        >学部で学んだことを深めたい
        これは主さんが学部でしっかり勉強されていたからこそ出てくる言葉のような気がしました!
        そもそも日本の学生はほとんどが勉強しない(とされている)ので、やりたいことがない場合は、潰しがきくベストプランを提示する以前に、自ら勉強したいことを探しにいけるような意識づくりが必要かもしれないと思い直しました…。

        またコメントすることがあれば、よろしくお願いします。

        1. 読者さん

          こちらこそせっかく丁寧なお返事いただいたのに反応が遅くて申し訳ないです。
          読者さんは大学生なのかなと勝手に想像していますが、とても優秀そうですし、
          なんとなく就活をしていた私と比べて将来のことをきちんと考えていて偉いなぁと思います。
          きっと輝く未来が待っていると思います! がんばってください。

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