インドで働く卒業生が語る、東京外国語大学ヒンディー語専攻


デリー留学時代のお友達Mayoちゃんがこんな記事を書いていました。

大学は違えど同じヒンディー語専攻として「あるある(笑)」と思いながら、楽しく読ませてもらいました。
受験を考えている人にとってもとても参考になる記事でいいなと思ったので、西の大阪大に対抗し東の東京外国語大学について卒業生である私が書いてみようと思います。
私Nainaは同大学のヒンディー語専攻を卒業し現在インドで働いています。

 

 

なぜ東京外国語大学? なぜヒンディー語?

外大生が死ぬほど聞かれてきたであろうこの質問。
私も最初に答えておきます。

外大生同士では入学してしばらくするとあまり聞かなくなります。
自分も相手もそんなに立派な動機があるわけではないということがわかってくるので。笑
もちろん高い志持って入ってきた人もいます。念のため。

 

なぜ東京外国語大学を志望したか

現役で合格できそうな大学の中で、独自のことが学べそうで面白そうだ、くらいの理由だったと思います。
曾祖父が同大学の前身の学校を卒業しロシア語の通訳者として働いていたので、私もそういう言葉に関する仕事につけたらいいな、という気持ちもありました。
今考えると、仕事に対する考えや志望校に対してのリサーチが甘すぎますね。

海外に行ったこともなく英語が得意なわけでもなかったです。
 

なぜヒンディー語を選んだか

上に書いたように英語が得意ではないというかむしろ苦手だったので、英語以外の言語をやってみたいと思いました。

曾祖父と同じロシア語や、当時三国志に傾倒していたので中国語も考えました。
ですが、メジャー言語は帰国子女にかなわなくて悔しい思いをしそうだったのでやりたくありませんでした。笑

いわゆるマイナー言語の中で、行くのにハードルが高そうな国の言葉がいいなと思い、ペルシャ語、トルコ語、ヒンディー語に絞りました。特に根拠はありません。
センター試験が終わりいよいよどれかの専攻に出願する段階となり、最寄駅の改札で「インドが一番面白そうだからヒンディー語にしよ!」と突然決めました。当時の自分、適当すぎ!

後付けすると、日本にはないインドの勢い、熱気のようなものに惹かれたのかなぁと思います。

 

他の人の例
  • ちゃんとインドに興味がある人
    インド神話に興味がある、カースト制度について知りたい、など
  • 就職ガチ勢
    インドが経済成長しているから就職にも有利だろう、という考え
    就職目的は、半分正解半分間違いだと思います(後述)。
  • フィーリング重視タイプ
    私もこれですね。
    私の友達は「インド人に顔が似てるってよく言われるからヒンディーにした!」と言っていました。笑

入ってみて、志望理由とその後のヒンディー語への取り組み方や語学力の伸びにはあまり相関関係はないなと思いました。
センター試験の点数が届かなくて志望校や専攻語を変えるという人もいると思いますが、入学後は気持ちを切り替えて自分の専攻に向き合うと新しい面白い世界が広がっていると思いますよ!

 

 

大学生活

カリキュラム

私が所属していたのは外国語学部でしたが、その後学部改変が行われ「言語文化学部」「国際社会学部」に分かれました。
2019年には「国際日本学部」というのができるそうですね。
この辺りの事情はわからないので割愛します。

  • 1年生
    文法とその地域の基本的知識について学びます。
    ネイティブの先生による会話の授業もありますが、まだヒンディー語でコミュニケーションがとれないため英語で授業が行われます。
    地域の勉強については「地域基礎」という講義名ながら基礎というレベルを超えており、講義内容をまとめたレポートを毎週書かされるので大変です。
    文法は、文字からスタートして一年で一通りの文法を終わらせます。
    テキストは、『CDエクスプレス ヒンディー語』『Complete Hindi』を使っていました。



 

  • 2年生
    読解が始まります。
    これがなかなか大変なので、ヒンディー語専攻に入る方は覚悟をしましょう。
    テキストは教授が新聞や文学作品から独断と偏見で選んだもので、先輩から答えをもらうといったことはできません。
    ネイティブが普通に読む文章なので、難易度も高いです。言語外知識も要求されます。
      
    予習が不十分だと
    「あなたはこの授業に出ている意味がないから、100回音読してから出直してきてきなさい。」
    「あなたがたは一年生のときに何を学んできたんですか。」
    「辞書をかきむしるだけじゃだめなんですよ」 
    と、教授から厳しいお言葉が飛んできます。
    そして容赦なく単位を落とされ、留年する人もいます。就職が決まっていてもお構いなしです。

    厳しいのが嫌な人、大学で部活だけやりたい人は止めておいたほうがいいと思います。
    私は読解の授業のおかげで大学時代しっかり勉強したと胸を張って言うことができ、文章の内容からも多くのことを学んだので教授に感謝しています。
     


↑使っていたヒン日辞書。これなくして卒業は不可能といっていいほど。
高いですが、値段以上の価値があります。
編集者の古賀勝郎先生への感謝と尊敬の念を込めて、辞書のことを「कोगा जी (Mr.Koga)」、辞書を引くことを「कोगा जी से पूछना  (ask Mr.Koga)」と言っていました。

 

  • 3年生
    3年生になっても読解の授業は続きます。
    加えて、専門の授業が始まります。私は文化・文学のコースに進みました。
    ヒンディー語とは全く関係のない分野を選ぶ人もいます。
     
    また、3年次で留学する人が多いです。

 

  • 4年生
    読解の授業はあるものの、週1コマだけとなりかなり負担が減ります(現在のカリキュラムは変わっているかもしれないので正確な情報は各自確認お願いします)。
    就活や卒論が中心の生活となります。

 

 

留学について

外大に入ったのなら、ぜひ長期留学をしてみることをお勧めします。
卒業するのに留学は必須ではありませんが、約半数の学生が留学しています。
私もKendriya Hindi Sansthanというヒンディー語の語学学校に留学しました。

インド留学

私はヒンディー語をもっと学びたい、インドでヒンディー語を使って暮らしたいと思ったのでインド留学を選びました。
ヒンディー語力はネイティブレベルには遠く及ばないですが、留学を通して、「ネパール出身?」と言われるくらいには伸びました。

インド留学のメリットを挙げてみます。

  • ヒンディー語を使って生活することができる
  • 生きたヒンディー語を学べる
  • インド留学はまだまだメジャーではないので、周りから珍しがられたり就活でもウケがよい
  • インド国内をゆっくり旅行できる
  • インド人の英語力は高く英語を話す機会もあるので、副産物として英語もそれなりに話せるようになる
  • 留学費用が抑えられる(私はアルバイトで貯めたお金で留学費用をまかなうことができました)
英語圏への留学

ヒンディー語専攻であっても英語を学ぶために英語圏へ留学する人もいます。
英語は最強のグローバル言語なので、英語をしっかり学べるのはいいなぁと思います。

インターン

語学留学のほかにインターンでインドに行くという方法もあります。
インドで働くという経験が得られるだけでなく、当然語学力も伸びますしお金ももらえるのでお得感があります。
私が学生時代に戻れるならインターンを選ぶと思います。

 

留学の方法
  • 交換留学
    東京外国語大学が提携を結んでいる大学に留学する方法です。
    単位が互換できるので4年で卒業が可能、そして学費も免除となります。
    インドではデリー大などと提携を結んでいます。
  • 私費留学
    Kendriya Hindi Sansthanなどの語学学校に留学する場合は、私費留学となります。
    インドの場合は学費は高くないのであまり気にしなくてもいいと思います。
    卒業も1年遅れますが、これも問題ないと思います(むしろモラトリアム延長できてラッキー?)。

 

留学についてアドバイス

留学自体は行ってよかったと心から思っているのですが、「外国語を学ぶ」ことを目的として現地に行ってしまったのはもったいなかったかなと思います。
留学に行くなら「外国語”で”学ぶ」ことを目的としてほしいと思います。

特にKendriya Hindi Sansthanは面白みに欠けます。
ヒンディー語の授業自体もそれほど質の高いものではなかったです。

 

就職について

就職のことを考えてヒンディー語専攻を選択するのは、正しくもあり間違ってもいます。

ヒンディー語は仕事で役に立つか?

インドで働く際にはもちろんヒンディー語やインドの文化が分かったほうが良いでしょう。
ですが、インド人は英語が話せるのでビジネスをするうえでヒンディー語が必須かと言われるとそうではありません。
社内文書やシステムも全て英語です。
「インドビジネス」「BRICs」といったことに期待して入学しても、待っているのは『ラーマーヤナ』の読解だったりするので期待を裏切られることになります。
事実 、入学して早々にモチベーションを失っているヒンディー語専攻の仲間を何人も見ました。

東京外国語大学・ヒンディー語専攻という肩書は就活で役に立つか?

これに対してはYesです。少なくとも、足切りにあうことはありません。
体育会系の部活経験や、インド留学などのグローバル経験などをアピールすれば、大手商社、大手メーカーなど本人次第で内定をもらえます。
東京外国語大学のマイナー語専攻は比較的入りやすく、それでいて人気企業への挑戦権を得られるのでコスパはよいと思います。

卒業生の進路

グローバルに活躍の場がある大手商社、メーカーが人気です。
ですが極端な傾向というものはなく、外資も日系もいますし、業界も様々です。
ヒンディー語専攻というと非常にニッチで潰しがきかないように見えますが、日本の新卒採用は大学の専攻と業務内容が結びつかないので、どのような会社にも入社可能です。

ヒンディー語のスキルを活かしたい場合

インド関連ではスズキやタタ・コンサルタンシー・サービシズに一定数入社しています。
インドに力を入れている企業であれば、インド出張やインド駐在のチャンスがあります。

私も以前の会社ではインドに関連する事業部に配属となり、二年目からは経理としてインド子会社の管理を行っていました。
大企業では自分の希望が必ずしも通るとは限りませんが、インドに行きたがる人は少ないので他の国よりは希望が通りやすいと言えます。

他には、インドで日本語教師になる人もいますし、現地採用でインドに来るという手もあります。

 

ヒンディー語の魅力

就活の話をしましたが、できればヒンディー語に興味を持って入学してもらい、ヒンディー語の面白さを知って卒業してもらいたいなと思っています。
というわけで私の考えるヒンディー語の魅力を語りたいと思います。

  • 日本語に似ている
    日本語に似ているということはそれだけ学びやすいということです。
    私はそれまで語学に苦手意識を持っていましたが、ヒンディー語を通して外国語を話す楽しみを知りました。

    まず、語順が似ています。思いついた順に話していけばいいのでとても楽です。
    次に発音。あまり抑揚がないので日本人にとって発音しやすいです。
    語学学校に通っていた際に中国人やロシア人の話すヒンディー語を聞きましたが、日本人のほうが圧倒的に上手でした。

    他にも似ているところがあります。
    日本語の「して+しまった」「して+あげる」「して+みる」「して+おく」という表現と同じように、ヒンディー語にも二つの動詞を組み合わせる複合動詞というものがあります。
    日本語の感覚で使えて便利です。これを知ったときはなんでこんなに似てるんだろう、と感動しました。
      

  • 文字がシステマティック
    アルファベットしか学んだことのない人にとっては、ヒンディー語の文字(デーヴァナーガリー文字と言います)は難しくみえると思います。
    ですが、この文字は完成度が高いです。
    表記と発音が一致しており、知らない単語でもとりあえず発音することが可能です。
    例外だらけの英語よりも簡単です。
    日本語の五十音表は「ta chi tsu te to」のような変則的な並びがありますが、デーヴァナーガリーの表は規則的に並んでおり覚えやすいです。
    昔のインド人はよく自分たちの言葉を観察していたんだなと感心します。
    文字の形は気合で覚えるしかないですが、全部で50文字程度なので漢字を勉強してきた日本人にしてみれば余裕です。
     
  • インド映画
    ヒンディー語ができるようになるとインド映画が字幕なしで観れるようになります。
    映画が字幕なしで観れるってかっこいいですよね。
    恋愛ものが多いので、ストーリーも理解しやすいです。
    ロマンティックなセリフを翻訳ではなく元の言語で楽しめるのはとても贅沢なことです。

 

入ってよかったと思う点・後悔している点

学ぶ環境が整っている・友人に恵まれる

勤勉で優秀な人たちが周りに多くいました。
「語学ができるようになりたい」「留学したい」という高いモチベーションを持っている人が多く、またそれを「意識が高い」などと揶揄する人もいない、とてもいい雰囲気でした。
私は高校生までは英語の授業で発音をがんばっている人を笑う(これ、よくない日本の風潮ですよね。今でも後悔しています。今の中高生は変わっているのでしょうか。)側の人間だったのですが、入学してすぐに自分が間違っていることに気づかされました。
大学の友達、先輩後輩から本当に良い影響を受けたと思います。

社会人になってみると外大のあの環境がとても貴重だったことに気づきます。 

 

実学を学びたかった

ここまで読んでいただければわかるように、私は東京外国語大学もヒンディー語も大好きです。
ですが、就活をしたり社会人になってからもっと実学をやっておけばよかったなと思っています。
語学って仕事で役に立ちそうに見えて役に立たないので。
業務では語学よりも仕事上の専門知識のほうが大事です。 
商学、経営学、経済学をやってみたかったし、簿記くらいはとっておいたらよかったです。

 
少しの後悔はありますが、それと引き換えにインド・ヒンディー語という新しい世界を知り、人生が豊かになったのは間違いありません!
総合して考えると東京外国語大学 ヒンディー語専攻に入ってよかったと思っています。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!
この情報が何かの役に立てば幸いです。

私Nainaは現在インドで働いております。
インド生活やヒンディー語についての記事もぜひ見ていってください。

 

 

この記事へのコメント

  1. roj dekhta hu
    kese ho??
    shayad tumne mere bare me likha hai
    mai tumahare saath hindi padhta tha
    mai rugby khelta tha
    pahchan liya kya??

    mai bhi agre saal se india me rahuga
    JOCV me dehradun ya haridwar me kaam karuga

    agar JOCV pass nahi saku to delhi ya gurgaon me kaam karuga
    kaam chodh kar aaunga

    毎日読んでます。
    楽しみにしております。

    1. Thank you for your comment.
      Tumhare comment padhkar Mujhe surprise aur khushi ho gai.
      Tumhari hindi jitni achi ho gai hai utni pehle tumhe pehchan nahi pai!
      Rugby ke word se mai samajh gai.

      Dusra surprise hai ki tum kaam choḍke India aa rahe ho.
      Can’t wait to talk to you in India !!!
      Good luck for your future!

  2. nainaさま
    東京外大ヒンディー科を平成6年に入学した者です。こんにちは。
    私もkendriya hindi sansthanに私費留学しました。
    実はヒンディー科卒業生の有志が毎年夏、インド料理店でランチ同窓会を開いています。(公式同窓会ではありません)
    Facebookの非公開グループにランチの連絡やらヒンディー科OGOBのことなどについて投稿があります。
    nainaさんのページのリンクを貼りたいのですが、よろしいでしょうか。
    また、nainaさんはヒンディー科の後輩ですので、ランチに参加するしないは別として、Facebookのグループに参加してもらうだけでも幹事としては嬉しいです。
    ご連絡お待ちしています。

    1. 伊藤さま
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      外大そしてKendriya Hindi Sansthanの大先輩からご連絡いただき、大変うれしく思います。

      リンク、もちろん大歓迎です。
      またFacebookグループへのお誘いもありがとうございます。ぜひ参加したいです(別途メールさせていただきます)。
      現在はインドにおりますが、帰国の日程が合いましたらランチにも出席させていただきたいなと思っております。

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